▼目次
1. 入れ歯による口腔トラブルの種類
2. 入れ歯による口臭の原因
3. 入れ歯による口臭を防ぐケア
入れ歯を使用する方の中には、口臭などの口腔トラブルに悩んでいる方も多いのではないでしょうか。特に入れ歯を正しくケアしないと、細菌の増殖による口臭や歯ぐきの炎症などの問題が発生する可能性があります。
今回は、入れ歯による口腔トラブルの種類や、口臭の原因、さらにその対処法について詳しく解説します。入れ歯を長く快適に使うためのケア方法を知り、健康な口腔環境を保ちましょう。
1. 入れ歯による口腔トラブルの種類
入れ歯は失った歯を補うための選択肢のひとつです。入れ歯を使用していると、口腔内でさまざまなトラブルが発生することがあります。一般的な入れ歯による口腔トラブルには、次のようなものがあります。
①歯ぐきの痛みや炎症
入れ歯がしっかりとフィットしていないまま長期間の使用を続けていると、歯ぐきに圧力がかかり、痛みや炎症が起こることがあります。このような状態が続くと、口腔内の健康に悪影響を与え、さらなるトラブルを引き起こします。
②粘膜のかぶれや口内炎
入れ歯と歯ぐきの間に食べ物のカスや汚れが溜まることで、細菌が増殖し、口内炎や粘膜のかぶれを引き起こす可能性があります。これにより、口腔内が痛み、食事や会話が困難になることも少なくありません。
③口臭の発生
入れ歯を適切に清掃しないと、食べ物のカスや細菌が蓄積し、口臭の原因になります。特に、入れ歯と歯ぐきの間に溜まった汚れが放置されると、細菌の繁殖が進み、口腔内の健康にも悪影響を及ぼすことがあります。
これらのトラブルを放置すると、口腔内の健康状態が悪化するだけでなく、口臭の原因にもつながります。そのため、早めの対処が重要です。
2. 入れ歯による口臭の原因
入れ歯を使用している人が経験する口臭の主な原因は、入れ歯のメンテナンス不足や、口腔内の細菌の増殖によるものです。具体的な原因をいくつか挙げると次のようになります。
①入れ歯の汚れや食べ物の残りカス
食事をした後、入れ歯に食べ物のカスが残ったまま放置されると、細菌が繁殖しやすくなります。この細菌が悪臭を放ち、口臭の原因となります。また、入れ歯自体がしっかり清掃されていない場合にも、食べ物のカスが付着し、細菌が発生しやすい環境となってしまいます。
➁入れ歯が適切にフィットしていない
入れ歯がしっかりフィットしていない場合、入れ歯と歯ぐきの間に食べ物のカスが溜まりやすくなり、細菌の増殖が促進されます。そして、口臭が発生しやすくなります。また、緩んだ入れ歯は口の中を傷つけることがあり、歯ぐきや粘膜の炎症を引き起こすこともあります。
➂口腔内の乾燥
唾液は口腔内を綺麗にする力(自浄作用)を持ち、細菌の繁殖を抑える役割を果たしています。しかし、入れ歯を使用していると、唾液の分泌が減少しやすくなり、口腔内が乾燥することがあります。口腔内が乾燥すると、口臭の原因となる細菌が繁殖しやすくなります。
④入れ歯の素材の劣化
入れ歯の素材自体が長年使用されることで劣化し、細菌が増殖しやすい環境を作り出すことがあります。この場合、入れ歯の交換や調整が必要となる場合があります。
口臭は、本人にとっても周囲にとっても気になる問題です。これらの原因を理解し、日々のケアを徹底することが、口臭を防ぐための第一歩です。
3. 入れ歯による口臭を防ぐケア
入れ歯による口臭を防ぐためには、毎日のケアが大切です。以下のようなポイントを守ることで、口臭の発生を予防に繋がります。
①毎日の清掃を徹底する
入れ歯は毎日しっかりと清掃することが大切です。入れ歯専用のブラシや洗浄剤を使用して、入れ歯全体を丁寧に洗いましょう。特に食べ物のカスや細菌が付着しやすい部分に注意して清掃することで、口臭を予防できます。また、入れ歯の清掃後は、しっかりと乾燥させることが重要です。
➁口腔内のケアも忘れずに行う
入れ歯だけでなく、口腔内のケアも怠らないようにしましょう。入れ歯を外した後は、歯ぐきや舌、口腔内全体を優しくブラッシングして、細菌の繁殖を防ぎます。また、マウスウォッシュを使用することも効果的です。特に舌は磨き残しが多いので気をつけましょう。
➂定期的に歯科医院で入れ歯をチェック・調整する
入れ歯は時間とともに変形したり、フィット感が失われたりすることがあります。定期的に歯科医院で入れ歯のチェックを受け、適切なフィット感を維持することが、口臭予防のためには重要です。また、入れ歯の素材が劣化している場合や、破損している場合は、早めに交換や修理を行いましょう。
④夜間の入れ歯の取り外しと保管方法
就寝時には入れ歯を外し、清潔な状態で保管することが推奨されます。入れ歯をそのまま装着して寝ると、口腔内の乾燥や細菌の増殖を引き起こし、口臭の原因になることがあります。入れ歯を外した後は、専用の洗浄液に浸けて保管し、朝には再度清潔な状態で装着しましょう。(ただし場合によっては、入れ歯をつけた状態で就寝された方が良い方もいらっしゃいます。歯科医師の指示を仰ぐようにしてください。)
⑤バランスの取れた食事と水分摂取
唾液の分泌を促進するためには、バランスの取れた食事と十分な水分摂取が重要です。特に、乾燥しやすい口腔内を潤すためには、こまめな水分補給が効果的です。また、歯ごたえのある食べ物を適度に噛むことで唾液の分泌が促進され、口腔内の清掃作用が高まります。また唾液腺マッサージも効果的です。
入れ歯を使用する際には、日常的なケアと定期的なメンテナンスが不可欠です。口腔トラブルや口臭を防ぐためには、入れ歯の正しい清掃や適切な保管が大切です。さらに、定期的に歯科医院でチェックを受けることで、入れ歯のフィット感を保ち、快適に使用し続けることができます。今回ご紹介したケアのポイントを参考にして、健康的な生活を送りましょう。
ファミリーとシニアの歯科医院 イオン福島診療所では患者さんが安心して治療を受けられるようサポートいたします。入れ歯に関するお悩みやご相談は気兼ねなくお申し付けください。
監修
ファミリーとシニアの歯科医院 イオン福島診療所
院長・歯科医師 山下 敬太